終演後

いくら拍手してもし足りない。大植&大阪フィル、いったいどこまで行ってしまうんだろう。 脳が興奮したままの状態でホールの廊下に出ると、壁にかけられた朝比奈隆氏の写真が眼に入った。私はおもわず、 「朝比奈さん、あなたのオーケストラが大変なことに…

指揮者、オケ、音楽が完全に一体化して…

第3楽章あたりになると、奏者の方々も興奮してきているように見えた。そして、音楽はまるで自らの力で走り出したかのような錯覚さえおぼえさせるほどに熱く息づく。極端な話、「ここで指揮者とオーケストラが手を止めても音楽は走り続けるのではないか?」な…

向かうところ敵なし?

演奏は、膨らむ期待をさらに上回る、驚異的なまでの大熱演だった。“熱演”なんてありふれた単語を使うのさえ躊躇われるくらいだ。 第一楽章冒頭から、音楽は情熱的に、しかし一歩一歩しっかりと足を踏みしめながら疾走する。しかもただ走るのではなく、随所に…

大植&大フィルのベートーヴェン初体験

大植氏と大フィルがベートーヴェンを演奏するのを聴くのははじめてなので、私はおおいに期待していた。曲目が「第7番」というのがまたいいではないか。いかにも大植氏が得意としていそうな曲だ。 オーケストラは前半2曲とはポジショニングを変えて、主副ヴァ…

2曲目は師バーンスタインの有名曲

「セレナード」は大植氏の師であるバーンスタインの曲で、“天才少女”五嶋みどりが何度も弦を切りながら最後まで弾ききってバーンスタインを感激させたことで有名な作品。今夜の独奏は、大フィルに3人いるコンサートマスターのうちのひとり、ロバート・ダヴィ…

「2年でここまで来ました」

大植体制3年目の幕開けを飾るのは、ベルリオーズの序曲。いきなり、その躍動感とパワフルさに圧倒された。私はこの曲を聴くのは初めてだったのだけれど、ときおり運動会の音楽みたいに賑々しくなったり、ロマンチックな歌があったりと、タイトルどおり活発で…

(一部で)話題沸騰

最近、ちょくちょく関西のメディアで大植氏と大阪フィルのことが話題にされているのを眼にすることがある。それらのいずれもが、大植氏が主席指揮者に就任して以来の大フィルの好調ぶりを伝えている。昨日の関西テレビのニュースでもちょっとした時間を割い…

ザ・シンフォニーホール 19:00〜

大植英次指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団 ベルリオーズ 序曲「海賊」 バーンスタイン 「セレナード」 ベートーヴェン 「交響曲第7番」

拍手の終演

終演後、拍手に包まれながら笑顔を浮かべ、胸の前で両手を組んでゆっくりとお辞儀をするデームス氏。私は「ありがとうございました。とても勉強になりました。」と言いたい気分でいっぱいだった。音楽を聴き、味わう喜びをまたひとつ勉強させてもらった。

後半はシューマン

シューマンの演奏で用いられた楽器は1846年製の歴史的なピアノ。現代のピアノと較べると、幾分くぐもったような響きがする。特に高音部では、コンサートホールで聴きなれたスタインウェイのようなキーンと張りのある音色はなく、角の丸い、ややくすんだ音が…

まずは前半のバッハ

まずは、クラビチェンバロによるバッハの演奏。小規模なホールゆえ、チェンバロの小さな音も、ひとつひとつの音波の細部までよく聴こえる。いやはや、本当に贅沢。 さて、デームス氏の演奏はというと…正直言って、私は最初の平均律でちょっと戸惑ってしまっ…

今日のコンセプト

今日のコンサートの副題は「デームス・オン・フォルテピアノ」。バッハの時代のクラヴィチェンバロを復元したものでバッハの音楽を、シューマンの時代に作られた歴史的ピアノでシューマンの音楽を聴こう、という企画なのだ。しかも、奏者はウィーンの老匠、…

はじめて入るホール

フェニックスホールで音楽を聴くのはこれが初めてだ。ピアノ音楽好きの会社の上司から「かなりこじんまりしたホール」とは聞いていたのだけれど、なるほど、その通りだ。席は300席あまりで、舞台は階段2段分の高さしかない。ちょっとした金持ちなら、自宅の…

ザ・フェニックスホール 18:00〜

イェルク・デームス J.S.バッハ「平均律クラヴィア曲集第1部より 第1番」 J.S.バッハ「フランス組曲 第5番」 J.S.バッハ「カプリッチョ 変ロ長調『最愛の兄の旅立ちにあたって』」 J.S.バッハ「前奏曲とフーガとアレグロ 変ホ長調」 J.S.バッハ「平均律クラ…

フランス音楽はいいなぁ

そういえば、フランスのオーケストラをフランスの指揮者が振るコンサートを聴いたのは初めてだったように思う。ドイツ音楽ともロシア音楽ともイタリア音楽とも違うフランス音楽の魅力にどっぷりと浸かった2時間半だった。

記録更新

アンコール1曲目は、ラヴェルの書いたオーケストラ曲の中で私が最も好きな「マ・メール・ロア」から終曲“妖精の園”。ゆっくりとしたテンポを基調に、ふわふわとたゆたう色彩的な響きの園。もう、全身の力が抜ける程美しい。来てよかった! そして、なんとこ…

なんと素晴らしい音楽!

後半の「展覧会の絵」も、ロシアの楽団による演奏とは一線を画す、お洒落な味わいの演奏。とにかく、オーケストラのどのパートも常に共感豊かな歌を振りまく。金管の強奏から、ピチカートのひとつひとつ、小さなオブリガートに至るまで表情があって、それが…

「色彩的」にもいろいろ

一言に「色彩的な音色」と言っても様々な種類がある。例えばデュトワ指揮の音楽はしばしば水彩画のようなパステルカラーを感じさせるし、若い頃のブーレーズの録音を聴くと、ガラス細工のような透明感を覚える。プラッソン指揮のパリ管弦楽団の響きはそうい…

音楽と一緒に呼吸する喜び

前半のプログラムは、ラヴェルとルーセルの色彩豊かな作品。まず驚いたのは、オーケストラが奏でる旋律に、うっとりする程暖かな表情が満ちていることだ。どの一瞬を取り出しても、無機的に音が並んでいるということはない。一音一音に、なんとも言えない洒…

プラッソン氏初体験

ミッシェル・プラッソンという指揮者の名前は随分前から識っていたのだけれど、その演奏は、実演はもちろん録音でも聴いたことがなかった。会場内で買ったパンフレットによると、氏は1933年生まれだから、御年72歳。若い頃は、ストコフスキーやバーンスタイ…

フェスティバルホール 19:00〜

ミッシェル・プラッソン指揮 パリ管弦楽団 ラヴェル「高雅で感傷的なワルツ」 ラヴェル「ラ・ヴァルス」 ルーセル「バッカスとアリアーヌ 第2組曲」 ムソルグスキー(ラヴェル編)「展覧会の絵」

結局

終演は9時半。しかし、サービス精神溢れるステージにすっかり楽しくなったので、楽屋口に並んでサインまでもらってしまった。

サービス精神の塊、シモノフ氏

なんとアンコールは3曲もあった。白鳥の湖から「ワルツ」を演奏した後、なぜかドヴォルザークのスラブ舞曲を2曲。最後の一曲の前に、指揮台の前で懐中時計を取り出し、時間を見てから聴衆に向かって「まだ大丈夫」と頷いて微笑んでみせるサービス精神もお見…

総じて

前半後半ともにやや直線的な音楽運びながら、音響的な迫力は最高級品。重心の低い打楽器と弦楽器が力いっぱい強奏しているのに、その頭を飛び越えて、突き刺さるような金管の音が勢いよく耳に飛び込んでくるのはロシアのオーケストラならではだ。鳥肌が立っ…

白鳥の湖

後半の白鳥の湖は、前述のごとくシモノフ氏選曲の抜粋版。コンサート前の告知ではそんなことを言っていなかったので、かなり戸惑った聴衆も多かったに違いない。というのも、この選曲、バレエの序曲から始まって、約一時間にわたって様々な旋律をとっかえひ…

音楽はやや大味ながら

シモノフ氏とモスクワ・フィルの音楽は、基本的にやや速めのテンポでアッケラカンと進んでいく。オーケストラの響きは分厚く、張りがある。各楽器のソロが力強く、安定しているので、厚いながらも、輪郭のはっきりした音楽が奏でられる。 シモノフ氏の指揮に…

交響曲第5番

事前情報として「シモノフ氏の指揮姿はかなり変」という話は仕入れていたのだが、なるほど、変だ。“踊るように”と言えば聞こえはいいが、その踊りは殆ど“ロボットダンス”。玩具の猿が太鼓を叩くみたいにカクカクと両手を揺らしたり(そのときの足はガニ股)…

今夜の副題は「チャイコフスキーの夕べ」

演目は、前半が交響曲第5番で後半が白鳥の湖(抜粋)という、普通とは逆の曲順。ただし、白鳥の湖は一般に演奏される組曲版とは違い、シモノフ氏独自の選曲によるものらしい。

突如の発売と不十分な宣伝?

私はその公演開催を電子ぴあで知ったのだが、どうやらその宣伝は非常に不十分だったようだ(実際、私はこの公演のパンフレットを見たことがない)。今日のザ・シンフォニーホールは、未だかつて見たことがないほどガラガラだった。雨天も響いたのかもしれな…

念願の単独公演

シモノフ指揮のモスクワ・フィルハーモニー交響楽団が来日するという話はかなり前から知っていた。ロシア音楽好きの私は少なからず期待していたのだが、どうやらそれはことごとく「伴奏指揮者」としての演奏らしいとのことで、少々ガッカリさせられた。フジ…