白鳥の湖

後半の白鳥の湖は、前述のごとくシモノフ氏選曲の抜粋版。コンサート前の告知ではそんなことを言っていなかったので、かなり戸惑った聴衆も多かったに違いない。というのも、この選曲、バレエの序曲から始まって、約一時間にわたって様々な旋律をとっかえひっかえ引っ張り出してきた挙句、第4幕の終曲で締めるのだが、そこでは組曲版に出てくる部分は殆ど省かれているのだ。なんと、一番有名な「情景」は結局出てこなかった。バレエの全幕公演を見たこともあり、全曲通してのCDも数度聴いたことのある私でも「どの場面の曲だっけ?」と考えてしまうようなマニアックな部分も少なくなく、「耳たこ」なレパートリーをやられるよりは、私は余程うれしいかった。どうやらこの選曲による演奏をシモノフ氏はお好きらしく、ロシア国内でのライブを収録したCDがロビーで販売されていた。ヨーロッパでもこの抜粋版を演奏したことがあるらしい。