響きは木目の香り

まずは華麗なワーグナーの序曲。ああ、なんて美しい響き。各楽器の音がふくよかに混じりあい、ふんわりとした暖かさを感じさせる。その暖かさと、豊かに広がるスケールはそのままに、しっかりとバランスを整えて各楽器の動きをよく見せるヤンソンス氏のテクニックも相変わらずお見事。また、音楽の隅々までニュアンスに満ち、一瞬たりとも単調に陥ることはないのに、細部に拘泥して音楽が停滞することがないのもヤンソンス氏のすごいところ。もちろん、それに十全に答えられるオーケストラのテクニックもすごい。