2曲目は師バーンスタインの有名曲

「セレナード」は大植氏の師であるバーンスタインの曲で、“天才少女”五嶋みどりが何度も弦を切りながら最後まで弾ききってバーンスタインを感激させたことで有名な作品。今夜の独奏は、大フィルに3人いるコンサートマスターのうちのひとり、ロバート・ダヴィドヴィッチ氏。
ダヴィドヴィッチ氏の音色は、ちょっと意外なくらいに地味だった。初めて聴くバーンスタインの曲も、想像していたよりも地味な曲。独奏ヴァイオリンがなんだか詩を朗読するみたいにモゴモゴとなにかを言って、周りのオーケストラはそのことばに感応したかのように、主題の断片をざわざわと繰り返し出す。最終楽章で申し訳程度にジャズ風味が添えられるのは、まあバーンスタインのご愛嬌か。大フィルの演奏するバーンスタインは、大植氏が就任する前に広上淳一氏の指揮で「ディヴェルティメント」を聴いたことがあった。これぞまさに「リズムの重い大フィル」を一番感じた演奏会だったのだが、いやはや、変われば変わるものだ。それにしても、曲の最後の一音で、大植氏が指揮台の上で派手に飛び跳ねたのは、バーンスタインの物真似かしら?
定期演奏会にしては珍しいアンコールは、バッハの無伴奏からアダージョ