2005-01-01から1年間の記事一覧

さて、終演後

演奏会終了後、五嶋みどりさんはロビーに現れて、なんと立ったままサイン会を開始。ズラリと並んだファンの列に自ら入り込み、ひとりひとりの前に歩み寄って、丁寧にサインし、握手をしながらひと言ふた言ことばを交わす。すごい。こんなサイン会初めて見た……

舞踏の聖化

コンサート後半はベートーヴェンの第7。ドイツの名門オケとテクニック抜群の指揮者にピッタリの演目だ。 そして、もちろん期待通りの演奏だった。自然な流れで築き上げられる圧倒的なスケール、驚異的な技巧に支えられた細部にまで心のいきわたった表現力。……

世界の"Midori"

さて、シベリウスのコンチェルトのソリストは五嶋みどりさん。実演に触れるのは、私ははじめてだ。どんな演奏をするのかな、とチケットを取ったときからとても楽しみにしていた。 で、いざ演奏が始まってみると…もう、たまげてしまった。最初の数小節を彼女…

響きは木目の香り

まずは華麗なワーグナーの序曲。ああ、なんて美しい響き。各楽器の音がふくよかに混じりあい、ふんわりとした暖かさを感じさせる。その暖かさと、豊かに広がるスケールはそのままに、しっかりとバランスを整えて各楽器の動きをよく見せるヤンソンス氏のテク…

テクニシャン・ヤンソンス

ヤンソンス氏の指揮は、昨年アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団で聴いたことがある。その時の印象としては、とにかく指揮テクニックが鮮やかだったことが強烈に残っている。オーケストラが上手いのは言うまでもないのだけれど、それを自在に操って色…

京都コンサートホール 14:00〜

マリス・ヤンソンス指揮 バイエルン放送交響楽団 ワーグナー 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲 シベリウス ヴァイオリン協奏曲 (Vn: 五嶋みどり) ベートーヴェン 交響曲第7番

是非次は…

ただ、今回のコンサートでちょっと残念だった点をあげるとすれば、フェスティバルホールの音響。大人数を入れることを主眼としたホールなので仕方ないのかもしれないが、ウィーン・フィルの響きをたっぷりと味わうには余りに茫洋とした音響特性だと思う。是…

アンコール

アンコールは、モーツァルトの「フィガロの結婚」序曲。かなりの高速なのに、その流れの中で見せる表情の多彩さと弱音の美しさは圧巻。まさに、ムーティ氏とウィーン・フィルの組み合わせだからこそできた演奏に違いない。私を含め、聴衆全員大喜び。

なるほど、第3がメインのわけは…

未完成とモーツァルトの後は、20分の休憩を挟んで、シューベルトの第3交響曲。20分強で終わってしまう曲である。「なんでこの曲がメインなの?」と、チケットを買うときに首をひねったのは私だけではないはずだ。 ところが、演奏が始まってしばらくたって、…

ムーティ氏VPOお得意のモーツァルト

モーツァルトは、イタリアオペラ出身のムーティ氏らしい、滑舌の良いアクセントが冴えた爽やかな躍動感と、ウィーン・フィルの弱音内での表情の豊かさ、滑らかな歌い回しがしっかりと手をつないだ、惚れ惚れするような演奏。ハキハキとしているのに、トゲト…

未完成交響曲

未完成交響曲は、徹頭徹尾「ウィーン・フィルの未完成交響曲」といった風情。美しく穏やかな音色で実によく歌う。びっくりするような解釈が出てくるわけではないが、ただただ「さすがなだぁ」としか言い様がない。

ムーティ氏とVPOは仲良しこよし?

男前イタリア人のムーティ氏は、悪い意味ではなく、ウィーン・フィルのご機嫌を上手くとりながら指揮をしているような雰囲気だ。要所要所でアクセントとテンポ設定を示す他は、大まかなニュアンスを要求するだけで、基本的なアティキュレーションはオーケス…

ウィーン・フィル再び

私が直接ウィーン・フィルを聴くのは、昨年の来日公演に続き2回目。前回は、ゲルギエフのネバっこいドラマ運びとウィーン・フィルの美音の組み合わせが面白かった。今回の指揮はムーティ氏。オペラファン中心に熱狂的なファンも多い指揮者だけれど、私は彼の…

フェスティバルホール 19:00〜

リッカルド・ムーティ指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 シューベルト 交響曲第7番「未完成」 モーツァルト 協奏交響曲(Vn:ライナー・ホーネック, Va:トバイアス・リー) シューベルト 交響曲第3番

ミミタコしたら金氏

田園交響曲を聴きながら感じたことは、ひと昔前のドイツ・オーストリア系巨匠のCDで聴き飽きた曲を金氏のライブで聴き直すと楽しいぞ、ということだった。先程から繰り返す通り、金氏のめざす音楽はシンプルで細やか。前回のブラームスでも今回の古典派でも…

モーツァルトも優しい

リンツ交響曲も、爽やかかつ繊細な金氏の音楽作りが徹底した演奏だった。この交響曲には、リズムを強調して躍動感溢れる音楽を立ち上がらせるアプローチも可能なのだろうけれど、金氏は、ふわりとした身軽な響き(しかし、痩せてはいない)にチャーミングでき…

ハイドン再発見?

実を言うと、私はハイドンにはあまり馴染みがない。所有しているCDはモーツァルト以降に偏重していて(バッハは唯一の例外としても)、よく考えてみるとハイドンの交響曲がおさめられたCDはどこを探してもない状態なのだ。現代の方には、カーターやベリオ、ペ…

ウィーン古典派

金氏は2年前から大阪センチュリー交響楽団と1年単位でテーマを定めた連続演奏会をおこなっている。2年前はウィーン浪漫派と称してブラームスやシューマンなどをとりあげ、昨年はウィーン幻想派と称してシェーンベルクやマーラーをとりあげていた。今年のテー…

今日の私は雑念だらけ

金聖響氏の指揮を聴くのは今日で2回目。2年前に同じ楽団でブラームスの第1と第4の交響曲を演奏するのを聴いた。目から鱗が落ちる程、見通しが良く、すっきりとした響きでスタイリッシュにまとめられた演奏が非常に印象に残っている。 ただし、この御方、私が…

ザ・シンフォニーホール 14:00〜

金聖響指揮 大阪センチュリー交響楽団 ハイドン 交響曲第104番 「ロンドン」 モーツァルト 交響曲第36番 「リンツ」 ベートーヴェン 交響曲第6番 「田園」

特に左手協奏曲とダフニスが魅惑的

左手のための協奏曲の独奏をつとめた菊地洋子さんは、スラリとした長身の、笑顔が素敵な美女。演奏は意外な程に力強く、鍵盤を力強く押し込んでいくような骨太さが井上氏の引き出すオーケストラの響きといい相性。ふむふむ、こんなに熱いラヴェルもあるのか。…

井上氏独自の語法

前回の演奏会でも感じ、今日の演奏でも感じたのだが、井上氏は、音楽の冒頭から末尾までを完全な一本の線として聴かせるのが抜群にうまいようだ。しかもその線は極太でありながら、グネグネとかなり大胆な曲線を描いている。 極太一本曲線とラヴェルは一見混…

オール・ラヴェル・プログラム

井上道義氏によるオール・ラヴェル・プログラム。井上氏のライブは、去年の大フィル定期で急病のフェドセーエフの代演したのを聴いて以来2度目。前回はシチェドリンのカルメン組曲やドヴォルザークの交響曲第8番が演目で、その独特の音楽の盛り上げ方という…

ザ・シンフォニーホール 19:00〜

井上道義指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団 ラヴェル 「スペイン狂詩曲」 ラヴェル 「左手のためのピアノ協奏曲」(ピアノ 菊地洋子) ラヴェル 組曲「クープランの墓」 ラヴェル 「亡き王女のためのパヴァーヌ」 ラヴェル 「ダフニスとクロエ」第2組曲

拍手!

演目終了後、拍手に促されて舞台に再登場した大植氏は、なんと客席に向かって話しかけはじめた。 「大阪フィルに来て本当によかったと思っています。先程、大フィルとの契約を、ちょっと長めに更新いたしました!」 客席から大きな拍手。アンコールは、「町…

モーツァルトも、シュトラウスもいいぞ

オーボエ独奏のブルグ氏は、元パリ管の主席奏者。太めの音で明るく奏でられるソロに、軟らかく鮮やかなオーケストラの伴奏。モーツァルトの書いた協奏曲は、いい演奏で聴くと本当に気持がいいなぁ。 R.シュトラウスの作品は、オペラから選られた管弦楽のみの…

信頼関係の賜か

そもそも、マッシブな大音量や豪快なリズム感で聴かせるオーケストラに比べて、弱音の内側で見せる表現の多彩さで聴衆を満足させることのできるオーケストラは少ない。小さい音を出すということは個々の奏者に非常な負担だし、そのなかで表情の変化をつける…

弱音で攻める大フィル

なんとそのマ・メール・ロワ、大植氏と大フィルは弱音の表現力でアグレッシブに攻めてきた。緊張感に溢れる最弱音の中で、弦も管も微妙な表情の変化を表出して見せる。ラヴェルの繊細な管弦楽の響きが、息をのむような注意深さで再現されていく。おお、こり…

2週連続の大植&大フィル

ちょうど一週間前の定期演奏会に続き、大植英次指揮による大阪フィル。なんといっても、ラヴェルの書いた管弦楽の中でも屈指のデリケートさを誇るマ・メール・ロワがこのコンビによってどう料理されるのかが楽しみでチケットをとった。

いずみホール 17:00〜

大植英次指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団 J.S.バッハ 「管弦楽組曲第3番」よりエア(JR宝塚線列車事故犠牲者への追悼演奏) ラヴェル 組曲「マ・メール・ロワ」 モーツァルト 「オーボエ協奏曲」 (オーボエ:モーリス・ブルグ) R.シュトラウス 組曲「町人…