信頼関係の賜か

そもそも、マッシブな大音量や豪快なリズム感で聴かせるオーケストラに比べて、弱音の内側で見せる表現の多彩さで聴衆を満足させることのできるオーケストラは少ない。小さい音を出すということは個々の奏者に非常な負担だし、そのなかで表情の変化をつける、となるとなおのことだ。大概の指揮者やオーケストラもそこで勝負するのは避けることが多い。その意味からも、大植氏と大フィルが信頼しあって、高い階段を上がろうとしているのがわかり、感激せずにはいられなかった。