なるほど、第3がメインのわけは…

未完成とモーツァルトの後は、20分の休憩を挟んで、シューベルトの第3交響曲。20分強で終わってしまう曲である。「なんでこの曲がメインなの?」と、チケットを買うときに首をひねったのは私だけではないはずだ。
ところが、演奏が始まってしばらくたって、「なるほど…」と腑に落ちた。ムーティ氏とウィーン・フィルというコンビの個性が実に上手く生きる曲だということがわかったからだ。
第3交響曲は、曲の構造もあっけないくらいシンプルで、出てくる旋律も「プリティ」と表現したくなるほど可愛らしい曲。ムーティ氏とウィーン・フィルが奏でるこの曲には、瑞々しい生命感が漲っていた。そして、それぞれの主題はどこまでも屈託のない、清純な喜びに満ちていて、耳が洗われるよう。なんて爽やかで幸福に満ちた楽曲なんだろう。
第2楽章と第3楽章の中間部では、ムーティ氏は指揮棒を振るのをやめ、手を身体の前で組んで「すべてウィーン・フィルにお任せ」のパフォーマンス。その間、嬉々として奏でられる木管楽器の響きのなんと美しいこと、ニュアンスに満ちたこと!