ハイドン再発見?

実を言うと、私はハイドンにはあまり馴染みがない。所有しているCDはモーツァルト以降に偏重していて(バッハは唯一の例外としても)、よく考えてみるとハイドン交響曲がおさめられたCDはどこを探してもない状態なのだ。現代の方には、カーターやベリオ、ペンデレツキなど、御存命中の作曲家までどこまでも延びているのだが…。
そんな前提知識で言うのもなんだが、金氏のハイドンを聴いて感じたのは「へぇ、ハイドンって、こんなにロマンティックで、ドラマティックだったんだ…」ということだった。なんとなく、四角四面で面白みのない予定調和の音楽だと勝手に思っていたからなおのことだったのかもしれない。
金氏は、オーケストラの響きをシンプルにそぎ落すと同時に、アティキュレーションをかなり注意深くコントロールして、ニュアンス豊かな音楽を作り上げている。その音楽の表情は「ひとなつっこい」とさえ言いたくなる程だ。テレビで見る金氏の、大阪弁でちょっとぶっきらぼうな喋り方の雰囲気からするとちょっと意外なくらい。(雑念?)
特にロンドン交響曲の最終楽章は、モーツァルトの音楽にも通じるようなドラマチックさと上品さを兼ね備えた魅惑の音楽に仕上っていて、思わず「おお、ハイドンもいいかも」と引き込まれてしまった。