それにしても救いのない曲

いやはや、マーラー交響曲第6番というのは「救い」のない曲だ。熱っぽさは充分にあるのだけれど、それは漲る意思の強さが持つ熱さではなくて、なにか焦燥感からくる火照りのように聴こえる。束の間に手に入れた安堵も、脆い陶酔も、結局はせわしない焦燥感に飲み込まれていく様子は聴いていて気が滅入る。最終楽章で、強烈なハンマーの一撃の後極端に騒々しくなるのも、精神的に追い込まれた人間がついにキレて、白目をむいてケラケラと引きつった笑いを発しているようにすら思える。しかも、そのお祭り騒ぎすら、オケの強奏とティンパニの不気味なリズムで荒々しく断ち切られて、ぷっつりと音楽が終わるのだ。